ビヨンド 空の彼方に

アリゾナでのルンルン生活

古き良き時代

東京で仕事を始めてすぐは、世田谷で某私鉄の沿線に住んでいた。この私鉄は他が全部ストをしても動いて途中までは通勤できて困り果てたこともあったりしたが、たぶんこの沿線だったので地方出身の私でも東京で安心して暮らせることができたのだと思う。

ある日、会社からの帰宅途中、降りたばかりの電車に忘れ物をした事に気がついて、駅員さんにそれをすぐ伝えた。そうすると、駅員さんがちょっとそこで待っていてくださいと言う。10分くらいだろうが、待っていると駅員さんが私の忘れ物を持って現れた。信じられない。隣駅に連絡して、そこで私の忘れ物を見つけ、上りの電車ですぐに届けてくれたのだった。これこそまさしく日本人の魂なのではないでしょうか?

 

古典落語

 

古典落語の世界は我々が忘れてしまった古き良き時代を描いているのではないでしょうか?落語はここアリゾナに住み着いてからちょこちょこ聞くようになった。最初のきっかけはYoutubeでちょっと前のNHKの朝ドラ、ちりとてちんを見たこと。これは最高に面白くてすっかり古典落語の虜になってしまった。それまでは落語は聞いたこともなかったし、興味もなかった。日本に戻った時には友人と一緒に落語を聞きに行ったりもした。

 

古今亭 志ん朝

 

今年に入ってから、どんなきっかけかは覚えていないが、古今亭志ん朝を聴き始めた。他の人もきいたけれどもやっぱり志ん朝に戻ってしまう。夜、Audible で15分くらい本の朗読を聞いて眠りにつく時もある。今は夏目漱石に挑んでいる。でも、志ん生の落語を聴きながら眠りに落ちるのも粋なものである。

 

最初にYoutubeで聞いたのが 文七元結 

 

いろんな録画があるのだろうが、私が見たのは東京、三宅坂国立劇場での録画だと思う。とても素敵な舞台。金屏風にバックグラウンドのライトブルーが気持ちを華やかにしてくれる。あーこの場にいたら最高だろうな....という気持ちにさせてくれる。

そしてこの動画の良いのは志ん朝の動きが見れること。これはどちらかと言えば長いストーリーになるので、ビジュアルがあった方が話に入り込んでいける。一人で演じているのを忘れてしまうくらいの演技力。泣かせる場面があると思えば笑わせてくれる。特に私がすごく面白いと感じるのが志ん朝の女性描写がとても上手なところ。すごく好き。もしかして、私よりも女っぽいかなー  まだ見たことがない方はぜひ一度聞いてみてください。

 

 

もう一つのお気に入りは井戸の茶碗。呆れてしまうくらいの正直者のお話。

これを聞くと何故だか父親を思い出して泣いてしまうことも。父もどちらかと言えばこのタイプの人だったと思う。その父の背中を見て育った私はもしかして失われていく古き、良き時代の日本人なのかもしれない。

 

 

 


www.youtube.com

 

この動画は3つのお話が入っています。反骨香、口入屋、井戸の茶碗

51分くらいから井戸の茶碗は始まります。私はおはやし 老松 も大好き。これを聞くと冷えた日本酒に美味しいお刺身が食べたくなります。とっても粋。ぜひお楽しみください。